朝の着替えで「イヤ!」。ごはんの席でも「イヤ!」。ようやく出かけようとしたところで、また「イヤ!」。 何をしても思い通りに進まない日が続くと、親のほうもへとへとになってしまいますよね。
「私の関わり方が悪いのかな」「このままで大丈夫かな」と心配になることもあると思います。 でも、イヤイヤ期は、子どもの中に「自分でやってみたい」という気持ちが育ってきた時期でもあります。
今日は、モンテッソーリの考え方をヒントに、イヤイヤ期の子どもの気持ちと、おうちでできる関わり方をいっしょに見ていきましょう。全部をうまくやろうとしなくて大丈夫。ひとつでも、親子が少し楽になるヒントが見つかればうれしいです。
イヤイヤ期は、子どもの「自分で」が大きくなる時期

先生、最近うちの子が何でも「イヤ!」なんです。着替えるのもイヤ、手伝われるのもイヤ。何をしたいのか分からなくて……。
毎日続くと、本当に疲れてしまいますよね。まず、ここまで向き合っているだけで十分がんばっていますよ。
イヤイヤ期の子どもは、ただ困らせようとしているわけではありません。自分の中にある気持ちを、まだうまく整理したり、言葉にしたりできない途中にいます。
「自分でやりたい」の気持ちが強くなっている
2歳前後になると、靴をはく、コップを持つ、ボタンを留めるなど、今まで大人にしてもらっていたことを「自分で」とやりたがる場面が増えてきます。
これは、子どもの中にある「自分で選びたい」「自分でやってみたい」という気持ちが育ってきたあらわれのひとつです。大人にとっては小さなことでも、子どもにとっては大切な挑戦なのです。
やりたいのに、まだ思うようにできない
気持ちは「自分で!」なのに、手先や体の動きはまだ追いつかないことがあります。靴がうまくはけない、服の袖に手が入らない、ほしいものを自分で取れない。そんなもどかしさが、涙や「イヤ!」になって表れることがあります。
気持ちを言葉にする力も、まだ育ちの途中
「それじゃなかった」「あとでやりたかった」「自分で選びたかった」。子どもの中には理由があっても、まだ言葉で十分に伝えるのはむずかしい時期です。
だから、こちらには理由のない「イヤ」に見えることもあります。理由を探して正解を当てようとするより、「何かしたかったことがあったのかもしれない」と受け止めるだけでも、関わり方が少し変わってきます。
イヤイヤ期をひとことで言うと
「自分でやりたい」気持ちが大きくなる一方で、できることや言葉がまだ追いつかず、気持ちがあふれやすい時期です。あらわれ方や時期には、もちろん個人差があります。
モンテッソーリではイヤイヤ期をどう見る?

モンテッソーリ教育では、子どもが「自分で選び、自分でやってみる」経験を大切にします。これは、何でも一人でできるように急がせることではありません。
子どもが自分の力で試し、できたりできなかったりする中で、「もう一度やってみたい」という気持ちを育てていくこと。その積み重ねが、意志や自立の土台になると考えます。
「イヤ」は、意思が見えはじめたサインかもしれない
「イヤ!」の奥には、「自分で決めたかった」「まだ続けたかった」「それはやりたくなかった」という意思が隠れていることがあります。
もちろん、毎回その通りにさせる必要はありません。出発時間や安全のために、大人が決めなければならない場面もたくさんあります。ただ、子どもの中にも気持ちがあると知っておくと、こちらの伝え方が少しやわらかくなります。
「イヤ」って言われると、つい反抗されている気がしてしまっていました。
そう感じるのは自然なことです。でも、「反抗」だけではなく「自分の気持ちが出てきた」と見てみると、親の心にも少し余白ができますよ。
大人は「できる環境」と「待つ時間」を用意する
大人にできるのは、子どもが全部できるようにすることではありません。手の届く場所に靴を置く、服を2枚だけ用意する、少しだけ待つ。そんな小さな環境づくりで、子どもは「自分でできた」を味わいやすくなります。
「自分で!」が強くなりやすい背景は、敏感期についての記事でもくわしく紹介しています。
今日からできる、イヤイヤ期の接し方3つ

イヤイヤが始まったとき、長い説明や完璧な対応は必要ありません。まずは、次の3つを思い出してみてください。
1. 気持ちを短い言葉にして返す
「自分で着たかったんだね」「赤いほうがよかったんだね」「まだ遊びたかったね」。子どもの気持ちを、短い言葉で代わりに言ってみます。
気持ちを受け止めてもらえると、すぐに泣き止まなくても、「分かってもらえた」と感じやすくなります。まず共感してから、必要なことを短く伝える順番がおすすめです。
2. 選べる形にして、子どもに決めてもらう
「青い靴下と白い靴下、どっちにする?」「自分で歩く? 手をつなぐ?」のように、親が受け入れられる選択肢を2つだけ出してみます。
選択肢が多すぎると、かえって迷ってしまうことがあります。「どれにする?」より「AとBならどっち?」のほうが、子どもには選びやすいことが多いです。
3. できるところだけ、子どもに任せる
急いでいるときに、着替えや靴を全部任せるのは大変です。そんなときは「靴下だけ自分で」「最後のマジックテープだけ自分で」のように、できるところを小さく切り分けてみましょう。
全部できなくても、「ここは自分でやれた」という経験が残ります。大人が手伝うことと、子どもに任せることは、どちらか一方に決めなくて大丈夫です。
その場で使える短い声かけ
- 「自分でやりたかったんだね」
- 「赤と青、どっちにする?」
- 「ここは手伝うね。ここは自分でやってみる?」
ついやりがち。少し立ち止まりたい対応

忙しい朝や、外出先で周りの目が気になるとき。落ち着いて対応するのが難しいのは、当たり前のことです。そのうえで、余裕があるときだけ、少し立ち止まってみたい対応があります。
急かし続ける
「早くして!」を何度も重ねると、子どもはさらに焦ったり、気持ちが固まったりすることがあります。時間がないときは、「あと一回やったら出ようね」「靴をはいたらおしまいね」と、次にすることを短く伝えるほうが届きやすいことがあります。
すぐに全部手を出す
見ているともどかしくて、つい大人がやってしまいたくなります。でも、ほんの少し待てば子どもができることもあります。
全部を任せる必要はありません。「できるところを一つだけ」にして、難しいところは大人が支える。そのくらいが、親子ともに続けやすい関わり方です。
長く説得しようとする
気持ちが大きく揺れているときは、長い説明を聞くのが難しいことがあります。「危ないからだめ」「今日は時間がないから、ここは手伝うね」のように、理由は短く、声は低く落ち着いて伝えるだけで十分です。
分かっていても、毎回そんなふうにできる自信がありません。
毎回できなくて大丈夫です。時間がない日は、大人が手伝っていいんですよ。「今日は一緒にやろうね」と伝えられたら、それで十分です。
まとめ|完璧にできなくて大丈夫

イヤイヤ期は、親にとってはとても大変な時期です。でも子どもにとっては、「自分でやりたい」という気持ちが育ち、少しずつ自分の世界を広げている途中でもあります。
- 「イヤ」の奥には、子どもなりの気持ちがあるかもしれない
- まずは気持ちを短く言葉にして受け止める
- 選べる形や「ここだけ自分で」の余白をつくる
- 急いでいる日や余裕のない日は、大人が手伝って大丈夫
できない日があっても、お子さまの育ちがだめになることはありません。「今日は少し待ってみようかな」と思える日が、一日でもあれば十分です。
なお、気になる行動が長く続く、睡眠や食事に大きく影響している、保護者の方が一人で抱えきれないと感じるなどの場合は、かかりつけの先生や地域の子育て相談窓口に相談してくださいね。
あなたも、お子さまも、毎日よくがんばっています。親子のペースで、少しずついきましょうね。