夕方になると、ささいなことで泣き出してしまう。抱っこしてもだめ、おろしてもだめ。 「どうして?」と途方に暮れる——そんな時間を過ごしていませんか。今日はその「泣き」の理由を、 モンテッソーリの見方でいっしょにほどいていきます。読み終えるころ、少し気持ちが軽くなれば嬉しいです。
1歳が「思い通りにならないと泣く」
のはなぜ?

先生……うちの子、思い通りにならないとすぐ泣くんです。今日も、自分で靴をはきたかったみたいで、 手伝ったら大泣きで。もう、どうしたらいいか分からなくて。
それは、まいってしまいますよね。よかれと思って手を出したのに泣かれると、こちらまで悲しく なりますし。毎日おつかれさまです。
わがままになっちゃったのかな、って心配で……。私の関わり方がいけないのかも、って。
大丈夫、あなたの育て方のせいではありませんよ。そして、わがままでもないんです。実はその涙、 「自分でやりたい」という気持ちが育ってきたサインだと考えられているんです。
わがままではなく「自分でやりたい」の芽生え
1歳ごろになると、多くの子が「自分でやりたい」という気持ちを強く持ちはじめると言われています。 それまで大人にしてもらっていたことを、「自分で!」とやりたがる。靴をはく、スプーンを持つ、 ドアを開ける——大人には小さなことでも、その子にとっては大きな挑戦です。
だから、大人が先回りして手伝うと、「自分でやりたかったのに!」という気持ちがあふれて、 涙になることがあります。それは反抗でも、わがままでもなく、育ちのひとつのあらわれだと 受け止めてあげて大丈夫です(※あらわれ方には個人差があります)。
やりたい気持ちと、できることの差が涙になる
やりたい気持ちは大きい。でも、手や体はまだ思うように動かない。この**「やりたい」と 「できる」のあいだのギャップ**が、もどかしさとなって涙になります。
この時期の涙、ここだけ覚えておけばOK
- 「自分でやりたい」気持ちが育つ時期。涙はそのもどかしさの表れ
- わがままでも、育て方のせいでもない
- むしろ「やりたい気持ちがしっかり芽生えている」サインと考えられている
モンテッソーリではこの時期をどう見る?

えっ、泣いてるのに、育ちのサインなんですか?
そうなんです。「自分でやりたいのに、まだうまくできない」——そのもどかしさが、涙になって あふれているだけ。むしろ、やりたい気持ちがしっかり芽生えている証拠だと考えられているんですよ。
「意志」が育ちはじめる大切な時期
モンテッソーリ教育では、この「自分でこうしたい」という気持ちを、「意志(いし)」の育ちとして 大切にします。むずかしい言葉に聞こえますが、要は「自分で決めて、自分でやろうとする心の芽」の ことだと思ってください。
この芽を、大人がいつも先回りして摘んでしまうと、「どうせやらせてもらえない」と感じてしまう かもしれません。逆に、できる範囲で「自分でやる」を見守ってあげると、その芽はゆっくり育って いくと言われています。
そう聞くと、あの泣き声も、ちょっと見え方が変わってきました。
そうなんです。「困った行動」ではなく「育ちの途中」だと思えると、こちらの気持ちも少しラクに なりますよね。
泣いたとき、おうちでできる関わり方3つ

気持ちは分かったんですけど……実際、泣かれたときはどうすればいいんでしょう?
はい、具体的にお話ししますね。むずかしいことはしなくて大丈夫。3つだけ、意識してみましょう。
まず気持ちを言葉にして受け止める
泣いているときは、正論より先に「気持ちの通訳」をしてあげます。 「自分ではきたかったんだね」「くやしかったね」——そんなふうに、子どもの気持ちを言葉にして 返してあげるだけで、落ち着くことがあります。
「自分でやる」余白を少しだけ用意する
できるところだけ、子どもに任せてみます。たとえば靴なら、最後のマジックテープだけ自分で。 着替えなら、袖に手を通すところだけ自分で。「全部」ではなく「ここだけ」の余白を用意すると、 「自分でできた」を体験しやすくなります。
できたら、さりげなく認める
うまくできたときは、大げさにほめなくても大丈夫。「自分でできたね」と、その事実を静かに言葉に してあげるだけで、子どもには十分伝わります。
今日からできる関わり方(※すべての子に当てはまるわけではありません)
- 気持ちを言葉にして受け止める(「〜したかったんだね」)
- 「ここだけ自分で」の余白を少し用意する
- できたら、さりげなく事実を認める
「なぜこの時期にこんなに自己主張が強まるの?」という背景については、別記事でくわしくお話ししています。
それでもしんどい日は、頑張りすぎなくて大丈夫

でも先生……正直、毎回そんなふうに落ち着いて対応できる自信がなくて。時間がないときは、 つい手を出しちゃうと思います。
それでいいんですよ。毎回できなくて当たり前です。朝の忙しい時間に「さあ自分でどうぞ」なんて、 とても無理ですもの。「今日は時間があるときだけ」で十分。できない日があっても、お子さまの 育ちがだめになることはありませんから、どうか自分を責めないでくださいね。
大切なのは、完璧に対応することではありません。「この涙には理由があるんだ」と知っておくこと。 それだけで、しんどい瞬間の受け止め方が少し変わっていきます。
なお、泣き方があまりに激しく長く続く、食事や睡眠に影響が出ているなど、気になることが続く場合は、 一人で抱え込まず、かかりつけの先生や地域の子育て相談窓口にご相談くださいね。
まとめ

- 1歳が「思い通りにならないと泣く」のは、多くの場合「自分でやりたい」気持ちの芽生えと 考えられています(※個人差あり)
- モンテッソーリでは、この時期を「意志が育ちはじめる大切な時期」と見ます
- 関わり方は、①気持ちを言葉にする ②「ここだけ自分で」の余白 ③できたら認める、の3つ
- 毎回できなくて大丈夫。理由を知っておくだけで、受け止め方は変わります
「そもそもモンテッソーリ教育ってどんなもの?」という方は、基本をまとめた記事もあわせてどうぞ。
なんだか、今夜はもう少しやさしい気持ちで向き合えそうです。ありがとうございました。
こちらこそ。あなたは十分がんばっていますよ。あなたのペースで、いきましょうね。
(※ おうちで受けられるモンテッソーリレッスンは現在準備中です。くわしくは追ってお知らせします。)